こんにちは、CCCMKホールディングスAIエンジニアの三浦です。
先日開催された人工知能学会全国大会に現地参加してきました!どんなイベントで、現地がどんな様子だったのか、そして特に印象に残ったトピックなどをまとめたいと思います。
第39回人工知能学会全国大会
人工知能学会全国大会は一般社団法人人工知能学会が主催する日本最大級のAI学術イベントで、今年2025年で39回目になります。
今年は5月27日~5月30日の期間で大阪の中之島にある大阪国際会議場(グランキューブ大阪)で開催されました。現地開催だけでなくオンラインでも配信され、参加者は最終的に4,902人となったそうです(現地参加が約4,000人、オンライン参加が約900人)。2023年、2024年の参加者はそれぞれ3,527人、3,803人だったそうなので、今年は参加者がとても多かったことが分かります。
大会は「誰もがAI研究の最前線にアクセスできる」ことを理念に運営されています。それを象徴するように、聴講者だけでなく発表者もオンラインで参加されているセッションがありました。大会では様々なテーマに分かれた「セッション」や「基調講演」、最新技術が分かりやすく解説される「チュートリアル」、参加企業による「企業展示」、主に学生による研究成果をまとめた「ポスター展示」などが行われていました。
取り扱われていたテーマ
従来の機械学習、ロボティクス領域、そしてやはり生成AIに関するトピックがとても多かったです。特に生成AIに関するトピックは本当に幅広く、理論的な内容のもの、LLMエージェント、AIのリスク、生成AIで行った実験など、非常に多岐に渡っており注目度が高いことが伺えました。
個人的に印象に残った内容
その中で私が個人的に印象に残った内容を、まとめてみたいと思います。
AIのリスクと安全性
AIセーフティ・インスティテュート (AISI)の所長である村上氏の基調講演は「AIのリスクと安全性」をテーマに行われていました。いくつも印象に残ったお話があるのですが、その中で特に自分にとって強く心に残ったことが、「AIの最大のリスクはAIを恐れて使わないこと」です。AIによってこれまででは想像できないようなスピードで物事が進むようになりつつあります。AIを活用しない限りそのスピードに追い付くことが困難になり、結果多くの機会損失につながってしまいます。そのリスクを防ぐためには利用者が安全に、かつ不安なく安心してAIを使えるようにすることが重要だとお話しされていました。AI技術に関わる上で、常にこのことを意識しておきたいなと感じました。。
新しいスケーリング則
スケーリング則はコンピューティング時間やデータを増やせば増やすほどAIの精度が上がり続ける、という現象ですが、最近はテストタイム、つまりAIの推論時間も含めたスケーリング則という考え方も出てきているようです。コンピューティングにおけるスケーリングは、これまでだとAIを学習させるシーンしか想定されていませんでしたが、最近はChatGPTのoシリーズのようにリーズニング(長期思考)によって高い精度を出す方法が頻繁に使われています。これらはテストタイムでスケーリングしたモデルととらえることが出来ます。
一方でテストタイムのスケーリングが注目されることでエネルギー消費が増えていかないだろうか、という点は気になります。より効率的にリーズニングを実行するアプローチが今後重要視されていくのでは、と感じました。
研究におけるAIの活用
一番衝撃を受けたのが、このトピックかもしれません。自分が想像していた以上に、研究者の方々がAIを活用していることを知りました。たとえば情報の収集やレポーティング、プログラムの作成、そして論文の執筆といった、研究における様々なシーンですでにAIが活用されているそうです。
研究は人がするのが当然、と思っていましたが、AIサイエンティストによって研究が自動化される未来が来る、そんな可能性があるのかもしれないと感じました。実際、リーズニング系のAIにいくつかのテーマを与えてレポーティングさせる、といったことを試してみたのですが、想像以上に分かりやすく、かつ正確にまとめてくれました。少なくともこういったAIツールを利用することで研究スピードが加速する、ということは事実だと感じました。
現地参加するメリット
先ほども述べたように、人工知能学会全国大会はオンラインで参加することが出来ます。そんな中で現地参加するメリットとしてはまずポスター展示や企業展示に立ち寄れることが挙げられます。とてもボリュームがあるので、全部しっかり見ようとすると一日あっても足りないと感じました。何よりも発表者や企業の担当者の方と会話をしながら色々と教えてもらうことが出来、これはオンラインでは体験できない経験になると思います。
また色々な方と交流が持てた点も現地参加してよかったと感じた点です。期間中は大会主催の交流会もありますし、参加者の方が主催された交流会もありました。大会主催の交流会には締め切りが終わっていて参加できませんでしたが、参加者の方が開催した交流会には参加させて頂きました。企業の方はもちろん、学生の方と色々お話が出来て楽しかったです。
一方セッションをたくさん見たいのであれば、オンライン参加のほうが良いかもしれません。現地参加だと会場を移動する時間も必要ですし、人気のあるセッションだと席が空いておらず立ち見で聴講することもありました。現地参加をし、必要に応じてオンラインで聴講する、といったハイブリッド形式で参加すると良いかも、と思いました。
まとめ
ということで、今回は先日大阪で開催された人工知能学会全国大会に現地参加して色々と感じたことを中心にまとめてみました。全体を通して、現地参加出来て良かった、と感じています。次回の大会は2026年6月9日~12日の日程で群馬県高崎市で開催されるそうです。次回で40周年を迎えるそうなので盛り上がりそうです!また次回も参加したいと感じました。