こんにちは、データベースマーケティング研究所の中岸です。
CCCマーケティングでは、Tカードのインフラやデータを社会課題解決や社会価値創造に繋げる活動を行っています。その中の1つの取り組みとして、先日「Tカードみんなのエシカルフードラボ」が発足しました。
「Tカードみんなのエシカルフードラボ」は、生活者を中心に業界を超えたさまざまなステークホルダーと共に対話を重ねながら、世界的な課題である“持続可能な食”につながるエシカルフードアクションについて考え、行動していく共創型プラットフォームです。
「Tカードみんなのエシカルフードラボ」では、下記3つの取り組みを行っていきます。
- 未利用資源に目を向けた商品開発・啓発の取り組み
- より良い消費行動を選択する生活者の指標となる「エシカルフードスコア(仮称)」*1の作成・活用
- 食の領域を中心とした生活者のエシカル消費に関してさまざまな視点で研究開発し、その成果を発表していく「エシカル消費研究会」
その中の 3.「エシカル消費研究会」は、「データベースマーケティング研究所」と、「CCCマーケティング総合研究所」が中心となって、企業、教育機関、自治体などあらゆる方々と共創しながら、食の領域を中心とした生活者のエシカル消費について研究していくことを目的にしています。
その第一弾として「エシカルに関する実態調査」を行いました。調査の中では、認知状況、実践していること、関心のある課題、お買い物の状況など、エシカル、エシカル消費、エシカルフードに関することを広くお聞きしましたが、今回はその中から一部の結果を抜粋してご紹介いたします。
(「Tカードみんなのエシカルフードラボ」のnoteで公開している内容と同一です)
1. 2021年日本の「エシカル」現在地
まず、「エシカル」はどれくらい浸透しているのか、2021年2月時点の状況を見ていきます。「エシカル」の認知状況を聞いたところ、「内容まで知っている」は5.5%、「聞いたことはあるが内容はよくわからない」は16.3%でした。
両者を合わせた認知率は21.8%です。関連するワードの認知率(「内容まで知っている」+「聞いたことはあるが内容はよくわからない」)は、認知率が高い順に、「エコロジー」76.0%、「SDGs」52.2%、「ロハス」51.8%、「サステナブル」50.6%、「フェアトレード」46.8%、「エシカル」21.8%、「ESG」17.8%、「倫理的消費」17.8%でした。「エシカル」はまだまだ広く浸透した言葉ではないようです。
次に、「エシカル」を知らなかった方も含めて、概念を説明した上で「エシカル消費」に共感するかどうか5段階で聞きました。エシカル消費に「共感できる」と答えた方は8.7%、「やや共感できる」と答えた方は27.8%、両者を合わせると36.6%でした。最も多かったのは「どちらともいえない」と答えた方で49.4%でした。
また、「エシカルフード」についても共感するか聞いたところ、「共感できる」と答えた方は10.3%、「やや共感できる」と答えた方は31.4%、両者を合わせると、41.7%でした。「どちらともいえない」と答えた方は46.7%でした。「どちらともいえない」という方が多いのは、まだよくわからない、という方が多い状態だと考えられます。ただ、その中でも「エシカルフード」に共感する方が「エシカル消費」と比べて多く、身近なテーマであるため共感する方が多いのではないかと考えられます。
2. 「エシカル」のとらえ方は様々
「エシカル」の概念を説明した後、イメージワードを提示して、それぞれあてはまる度合いを5段階で聞きました。「あてはまる」もしくは「ややあてはまる」と答えた方が多い順に、「真面目」46.5%、「先進的」35.3%、「役に立つ」34.2%、「安心できる」32.6%、「信頼できる」30.7%でした。この回答結果からエシカルに対してのイメージ傾向で、回答者を5つのクラスターに分類しました。それぞれの特徴は以下の通りです。
約半数の方は、明確な意思や態度がまだ無い状態のようです。また、安心、信頼、真面目など好意的に見ている方の中でも、先進的な事柄というイメージの層、伝統的・保守的なイメージの層の両方が存在します。その他、真面目なイメージでとっつきにくさを感じている層もいます。
また、エシカルフードに関連する事柄について、関心度を5段階で聞きました。「関心がある」もしくは「やや関心がある」と答えた方が多い順に、「食品ロスの削減」64.0%、「過剰包装の削減」58.1%、「消費者の健康への配慮」55.2%、「地産地消」54.3%、「労働者への公正な賃金の支払い」53.0%でした。
人によってとらえ方が異なることは、「エシカル」を語ることが難しい要因でもあります。その一方、それぞれ興味のある事柄から、自分にできることを取り組めるということではないでしょうか。
3. 世界共通課題の視点を持った10代
年代別でみると、特徴的なのは10代でした。10代は「SDGs」「フェアトレード」の認知率が全体と比べて10pt以上高くなっていました。
また、「エシカルフード」に関連する事柄の関心度では、10代は「動物福祉」や「フェアトレード」への関心が、全体と比べて高い傾向にありました。
エシカルフードに関心を持った経路を聞くと、10代は「テレビ」30.7%、「インターネット記事」25.5%に次いで、「学校教育」20.3%、「SNS等個人の発信」11.1%が高いのが特徴的でした。「学校教育」は全体と比べて17.4pt、「SNS等個人の発信」は全体と比べて6.7pt高くなっています。
近年学校教育の場でSDGsについて学ぶようになり、この世代の感覚や視点は他の世代とは大きく異なることが考えられます。今後この世代が、日々の生活における「選択」を自分でする範囲が広がってきたとき、新たな消費の潮流が生まれるかもしれません。
調査方法:インターネットアンケート
調査期間:2021年2月26日(金)~2月28日(日)
調査地域:全国
調査対象:16歳~69歳男女
サンプル構成:居住地8エリア×性別×年代を人口動態に沿って割付
サンプル数:3,000名
調査項目一覧
「エシカル」と関連ワード認知状況
「エシカル」純粋想起
「エシカル」のイメージ
「エシカル」共感度
「エシカル」行動状況
「エシカルフード」共感
「エシカルフード」要素別関心
「エシカルフード」関心を持った情報源
「エシカルフード」行動状況
「エシカルフード」購入カテゴリ
「エシカルフード」カテゴリ別購入店舗業態
「エシカルフード」カテゴリ別購入理由
「エシカルフード」今後の購入意向
「エシカルフード」今後の購入意向頻度
「エシカルフード」行動阻害要因
「エシカルフード」企業に望む内容 純粋想起
「エシカルフード」企業に望む内容
「エシカルフード」カテゴリ別購入許容価格
カテゴリ別重視項目
属性情報(未既婚、同居家族、職業、年収、くらし向き、食に対する意識、SNS利用状況)
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